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BOOKモモモノローグ
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言葉を尽くすユーモア

非常に輝きの大きなものをこの歌の中に持ってきて、「ささえていたい」というごくありふれた感情に対してそれを乗せたところに、胸を打つような優しさや、相手を思いやる気持ちが伝わる理由があるのだと思う。

御殿山みなみ『モモモノローグ』(ひざこぞう)

最後だけ百万点の問題になってあなたをささえていたい引用:御殿山みなみ『モモモノローグ』(ひざこぞう)

ここから下に、この歌集の推薦文を書いています。

Review

推薦文:最後だけ百万点の問題になって

めちゃくちゃ良い。上記の歌が一番好きだった。きっと忘れないだろう

ねむらないただ一本の樹となってあなたのワンピースに実を落とす晩年のあなたに窓をとりつけて日が暮れるまで磨いていたいそれは世界中のデッキチェアがたたまれてしまうほどのあかるさでした『えーえんとくちから』笹井宏之

笹井宏之という歌人の影響は非常に強く、この御殿山みなみの歌集にも見ることができると思う。

笹井宏之は夭逝してしまったが、こんにちまで大きな人気を誇る歌人の名前である。

たまたま構造の似ている短歌を見つけてしまっただけかもしれないとも思うが、しかし笹井と御殿山の歌に共通しているのは、やわらかな言葉遣いの利用と、五七五七七の定型をかなり厳格に守っているという点である。両者に端正な響きの歌が多いのは、そういった共通点から来ているのではないだろうかと思う。初めて短歌にふれたひとが読んでもこの二人の歌がとても面白いと思えるのは、定型が丁寧に足がかりとして用意されており読みやすさが担保されているからだろう。そして連作であっても一首単体で完結する歌が多いからだ。

そういった共通点を踏まえたうえで、御殿山みなみが『モモモノローグ』の中で切り開いている地平とは、そこにユーモアを搭載しているという点にある。笹井の歌が「儚さ」のようなものを感じさせるのに対して、御殿山の歌は儚さを感じさせるようなものではなく、自己がしっかりしている主体像が見えてくる。

最後だけ百万点の問題になってあなたをささえていたい『モモモノローグ』御殿山みなみ

そのユーモア自体も見どころであるし、ユーモアが逆説的に浮き彫りにする真剣さのようなものもある。ユーモアというのは、直接的に真剣なことを言っているわけではないのだが、それでもすごく真剣に聞こえるというのは、そうやって「言葉を尽くしている」というふうにも取れる。

例えば、「私のことどれくらい好き?」と聞かれたときに、その「どれくらい」の部分をどのように例えるかという問題はもうええわいと思うくらいにはこすられて、しかしまだまだ難しい問いだ。どのようなアイテムを持ってくるかによって、その感情の大きさが測られるということがあるだろう。この例示が適切かどうかはわからないが、〈最後だけ百万点の問題になってあなたをささえていたい〉の「百万点の問題」に関しては、やはりユーモアの世界の言語が取り出されてきているのだと思う。

そういった言葉を取り出してくることによって、言葉を尽くしているという感覚が強まる。そこらへんにあるような現実のものではなく、ごく限られた状況のときに現れる「希望そのもの」のような――「百万点の問題」というのはつまり、負けているときにもうすがるしかないような一発逆転のものだ。非常に輝きの大きなものをこの歌の中に持ってきて、「ささえていたい」というごくありふれた感情に対してそれを乗せたところに、胸を打つような優しさや、相手を思いやる気持ちが伝わる理由があるのだと思う。

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