歌集ってどんな本?
歌集とは、一人の歌人(ときには数人)の短歌をまとめた本です。三百首から四百首ほど入っていることが多く、テーマごとのまとまり(連作)に分かれています。
近代の歌集なら、こんな一首が入っています。
白鳥は哀しからずや空の青海のあをにも染まずただよふ若山牧水『海の声』
教科書で一首だけ知っている歌も、歌集で読むと、前後の歌といっしょに、作者がそのころ何を見ていたか、何を伝えたかったかがわかります。もちろん短歌がたくさん読めてうれしいです。
まずはアンソロジーから
アンソロジーは、何人もの歌人の歌を選んで集めた本です。いろいろな声に一度に出会えるので、自分の好きな歌の傾向が見えてきます。
- 『短歌タイムカプセル』(書肆侃侃房):現代の歌人の名歌を集めた一冊
- 山田航 編『桜前線開架宣言』(左右社):1970年以降に生まれた新人歌人の歌を集めた一冊
- 瀬戸夏子『はつなつみずうみ分光器』(左右社):2000年以降に出た歌集を紹介していく一冊
アンソロジーから始めるのは、とても無難ですごくいい始め方だと思います。一冊の歌集よりも、一首のみで味わい深い作品が多くあり、たのしい経験になると思います。
古本が探せるなら
新刊では手に入りにくくなった本にも、はじめての一冊にいい本があります。古本屋やネットの古書店で探せるなら、安福望『食器と食パンとペン』も読んでみてください。
文庫で買える歌集
歌集は単行本だと手に入りにくいこともありますが、文庫なら本屋で見つけやすく、値段も手ごろです。ちくま文庫には、はじめての一冊にしたい歌集が入っています。以下の3冊はクオリティも高く、一冊目としても最適だと言えるでしょう。
- 東直子『春原さんのリコーダー』(ちくま文庫)
- 千種創一『砂丘律』(ちくま文庫)
- 笹井宏之『えーえんとくちから』(ちくま文庫)
東直子さんの文庫には、ほかに『青卵』(ちくま文庫)もあります。
一冊でおすすめするなら
一冊単位のおすすめは、どうしてもわたしの好みになってしまいます。そのうえで、私は大森静佳さんの本を読んで短歌を始めたので、大森静佳さんの本をおすすめします。「塗り絵のように暮れてゆく冬 君でないひとの喉仏がうつくしい」という歌、どうでしょうか。
推薦文から選ぶ
だれかが「なぜこの本が好きか」を書いた文を読んで、その理由に共感できたら、きっとその本も楽しめます。
このメディアでは、まず1冊目におすすめにしたい本、toron*『イマジナシオン』の推薦文を書いています。比喩の力で、一首がかがやく歌集です。表紙や一首、推薦文は、記事の最後のカードからも読めます。詳しくはtoron*『イマジナシオン』の推薦文をどうぞ。
このメディアが育っていくにつれて、「まず一冊目に読みたい本」が、推薦文といっしょにたくさん並んでいくと思います。
読み方のコツ
- 最初から順番に読まなくてOK。好きなページから読む
- 気になった歌に付せんをはる
- 一日に十首だけ、のように少しずつ読む
- 好きな歌を一首、だれかに見せてみると話が広がるかも
はじめは、アンソロジーで好きな歌人を見つける。見つかったら、その人の歌集へ進む。
次に読みたい一冊
ほかの本は歌集の棚から選べます。

直喩で、最短距離を走ってくる
toron*『イマジナシオン』
toron*の短歌は、短歌を読む人なら誰もが通ってきた、とびっきりの比喩の、その力を思い出させてくれる。
推薦文:武田ひか 推薦文を読む →